牧之原市・中嶋雄一さん、世理子さん
「山芋の王様」と呼ばれる自然薯(じねんじょ)。かつては栽培方法がなく、手に入れたければ山から天然物を掘ってくるしかなかった。約50年前、茶農家だった祖父が「これからは健康食の時代だ」と、全国でもまだ例の少なかった自然薯栽培を牧之原の畑で始めた。以来、3代にわたりバトンをつないできた。

自然薯が高価な理由の一つが、育つまでにかかる時間の長さだ。ひとつの芋が収穫できるまで、なんと3年の歳月を要する。栽培の流れはこうだ。[1年目]在来原種の種芋からむかごを育てる[2年目]状態の良いむかごを種として植え、種芋(一本種)を育てる[3年目]種芋を植えて出荷サイズの自然薯を収穫する。こうして手間と時間をかけ、のんびり育つのだ。


牧之原台地は赤土で、日当たりも水はけも良く栽培に適した地域。粘りが強く香りもいいと評判で、とろろ汁の老舗「丁子屋」(静岡市)でもここの自然薯が使われている。祖父の代より栽培技術も進化したが、「まだまだわからないことだらけ」と3代目の雄一さん。
「蔓は良くても芋が良くないという年や、病気で全滅してしまった年もあります。自然薯は繊細なんです。でもやればやっただけ面白みが深まります」
原種をつなぐ
同園がとりわけ力を注いでいるのが「原種の保存」。元々は静岡の山に自生していた天然の在来種「静岡農試60号」を一切改良せず、静岡県の独自品種として守り続けている。なんとこの原種の管理が許されているのは同園だけ!毎年試食し、60号の特徴が備わっているかをチェックするのは重要な任務。抱えるプレッシャーは大きく、「1年に1回は全滅して慌てる夢を見るくらい…」と雄一さん。まさに自然薯ブランドの番人。本当に頭が下がります!



▼ここで買えます
なかじま自然薯園 直売所(1月末まで)
※隣接の自動販売機は通年販売
牧之原市東萩間2786
☎0548-27-3866
営/8:30~17:00 休/火曜
※内容は2026年1月10日時点の情報です。





