■主要産地/御前崎市
■漁獲時期/冬
■漁獲方法/養殖・一本釣り・刺網
駿河湾の入り口に位置する御前崎は、外洋からの潮流と複雑な地形から、クエの好漁場として有名です。クエは関東から西の沿岸域の岩場に生息し、成長すると1.5m、体重も50㎏を超える特大サイズで、大物が水揚げされると地元の新聞にも載るほどです。漁獲量は少なく、希少性の高い、まさに〝まぼろし〟の魚でしたが、約20年前から静岡県温水利用研究センターで種苗生産が始まったことで、今では御前崎市の特産品になりました。生産された種苗は海に放流されているほか、陸上水槽において養殖され、 地元飲食店に出荷されています。


頭が大きく、いかつい見た目のクエですが、身は透明感のある白身で、食感の良さに加えて、しっかりとした旨味が感じられます。刺身や唐揚げなど、どんな調理法でも美味しいクエですが、これからの寒い時期のお勧めはなんと言っても鍋です。骨や頭から出るダシを下味にした「クエ鍋」は、クエの上品な味わいを楽しめる料理です。切り身を購入して家庭でも味わえますが、御前崎市内にはクエ鍋を提供する飲食店も多くあります。普段はなかなか手が出ない高級魚のクエですが、年始のごちそうにいかがでしょうか。

その1:メスがオスになる? 性転換する不思議
クエは成長とともに性転換する変わった魚です。3~5歳でメスとして成熟し、その後、10歳くらいになるとオスに性転換して成熟します。自然界では、群れの中で一番大きい個体がオスになることが知られており、その個体が居なくなると、次に大きな個体がオスになる、という面白い特徴を持っています。性転換する魚としては、クエの他に、クマノミやキュウセンベラなども知られています。

その2:増えている、クエの仲間
クエの仲間(ハタ類を含める)は、近縁種も含めると500種類近くが属する一大グループです。ハタ類だけでも国内で60種類以上が知られており、静岡県周辺にはこのうち半数程度が生息し、近年では種類数も個体数も増える傾向にあります。クエの仲間は暖かな海を好むので、温暖化の影響があるのかもしれません。
※内容は2025年1月10日時点の情報です。
静岡県経済産業部水産・海洋局水産振興課
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