浜名湖とともに歩んで100年超、とれたての幸(さち)を届け続ける仲買人/海老仙

しずおか四季の魚
浜松市中央区雄踏町・代表取締役 加茂仙一郎さん

 午前7時、浜名漁協雄踏支所の市場はにぎやかになる。水揚げされたばかりの浜名湖の幸が並び、仲買人たちが集まる。秋に旬を迎えるのはクマエビ(ウシエビ)だ。他のエビと比べて大きく、勢いよくぴょんと跳ねてかごから飛び出すほど力強い。ブラックタイガーの近似種で成長すると30㎝を超える。

 セリが始まると、セリ人の「えびせーん」という威勢のいい声が何度も響いた。えびせんとは老舗の仲買人「海老仙」のこと。大正時代から100年以上にわたり浜名湖の漁業を支えてきた。社長の加茂仙一郎さんは3代目。加速する浜名湖の環境の変化を間近で感じている一人だ。「一番いい時代は年間1000tものクルマエビがとれました。でも今は全てのエビを合わせても2.5t。環境の変化でアサリもエビも育たなくなっているんです」。

 かつて浜名湖のエビは築地市場でも重宝されたが、漁獲量が減り今は地元での流通がメインに。秋は濃厚なうまみのアカアシエビもおすすめだ。「とれたての塩ゆでは格別。一度食べたらエビのイメージが変わりますよ」と加茂さん。地元だけが食べられる秋の贅沢。そのおいしさを知ることが漁業を支える一助となりそうだ。

 地域の関係者たちを中心に、持続可能な漁業のための資源保護に力を注いでいる。ウナギの放流事業もその一つ。指定仲買人が市場で天然ウナギを買い取り、遠州灘で放流する。クルマエビの赤ちゃんも放流しているが、浜名湖の環境の変化によって思うように育ってはいない。今後も漁業関係者を中心に、浜名湖再生に向け協力していくそうだ。「うちは100年も浜名湖の恩恵を受けてきました。できる限り湖の環境を改善し、水産業の良い循環を戻したい」。加茂さんは漁業のSDGsに挑んでいる。

▼ここで買えます

よらっせYUTO  浜名湖とれたて市場
浜松市西区雄踏町9981-1
☎053-597-2580
営/9:30~18:00  休/水曜

海老仙のホームページ 浜名湖の鮮魚はこちら
https://www.ebisen.info

※内容は2025年1月10日時点の情報です。

雄踏支所のセリ風景

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