生まれも育ちも御前崎。完全養殖の高級魚クエ/静岡県温水利用研究センター

しずおか四季の魚
御前崎市・主任 大井英治さん

 高級魚の中でも最高クラスを誇るクエ。脂が多く旨味が強いため、鍋料理で重宝される。そんな高級魚が、海風吹く御前崎市ですくすく育っている。卵からの完全養殖だ。「御前崎クエ」は、市内の飲食店や旅館で提供されている。

 クエはゆっくり成長する。50〜60㎝の出荷サイズになるまで3年超。自然界では30〜40年生き、人間の子どもの身長より大きくなる個体も。肉食性で歯も鋭く生態系の王者となる。一方、赤ちゃんのころはすぐに命を落としてしまうそうだ。

 「一番大変なのは種苗生産です。クエの稚魚は信じられないくらい弱くて、あるウイルスに1匹でも感染したら全滅します。それを何度も経験してきました。ですから5㌢に育つまでの半年間、私以外クエの施設には入れません」と語るのは、クエの生産管理を一手に引き受ける静岡県温水利用研究センターの大井英治さんだ。種苗生産期間である6月からの半年間、クエの番人である大井さんは徹底的にほかの魚に触れないようにする。それでも5㎝になるまで10%も生き残れば大成功だという。

 温暖化で海の環境は変化した。同センターでは近隣の海域で漁獲高が急減したクエやクルマエビ、マダイなどの魚介類を育てて放流し、静岡の漁業を支えている。

 クエの赤ちゃんは体が透明。あまりにも脆く、軽くて弱い存在だ。「水面に浮いても沈んでも死んでしまいます。なので浮かないように水面に油を張ったり、呼吸のため油を取り除いたり、沈まないように底に水流を発生させたりして工夫します。小さいうちにたくさん命を落とすことで強い魚が増えすぎないよう生態系のバランスを保っているのでしょう」と大井さん。同センターは浜岡原発の温排水を有効利用して魚を育てる施設だが、現在は稼働していないため自然の水温で育てているそうだ。

▼ここで食べられます

御前崎クエ料理組合加盟店(御前崎市内9カ所) Webサイト

※内容は2025年1月10日時点の情報です。

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