畑と子育てにシングルパパ奮闘。Uターン就農で妻との夢を実現/にじのわファーム

しず畑
磐田市・井上章さん、まなちゃん(8)

 梅雨の合間の真夏日。磐田市の「にじのわファーム」では、夏野菜が青々とした葉を広げ、受粉の時期を迎えていた。とれたてヤングコーンを生でかじると、瑞々しい初夏のぜいたくがぎゅっと詰まっていた。「野菜自体がおいしいんですよ」と、井上章さんは誇らしげだ。

「ズッキーニはカツ風に揚げるのもおすすめ」と料理上手な井上さん。

 東京でサラリーマンをしていた井上さんが就農したきっかけは、妻・安岐子さんの影響。雑穀と野菜中心の食生活に切り替えると体調が改善し、食べ物に関心を持った。夫婦で「有機農家になろう」と夢を描いていた矢先、妻が病死。当時娘は2歳、息子は7歳だった。シングルパパとなり、子育て環境を考え2020年にUターン就農した。

微生物が豊かで栄養バランスが整った土づくりをしている

 農薬を使わず、有機肥料と堆肥のみで育てる〝カラダが喜ぶ野菜〟は「大地のエネルギーを感じる」と評判だ。自宅近くに畑を借り、畑と子育てが溶け込んだ暮らしをしている。いま娘は8歳、息子は14歳になった。

 「手がかからなくなり、手伝ってくれることもあります。以前は子育てもきっちりやろうと頑張っていたけれど、最近は適当が一番だと考えるようになりました。親の手料理が一番の愛情表現だと思ってます」日々奮闘するパパを、みんなが温かく見守っている。

 井上さんが考える“おいしい野菜”の秘訣ランキング1位は新鮮さだという。「最も味を左右するのが鮮度です。とれたてが1番! 次に品種。そして栽培時期。栽培技術の影響は4番目です」ときっぱり。鮮度の落ちた地元野菜がスーパーで売られていると心が痛むそう。地元の人には地元野菜を新鮮なうちに食べてほしいと願う井上さん。「そのためにもたくさん作れるよう経営を安定させたいです」

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プレ葉ウォーク浜北店、アピタ磐田店など
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※内容は2025年7月10日時点の情報です。

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