熊野市遊木町・第二十八浜丸 濱田安哉さん(後右)、とクルーの皆さん
どこからともなく演歌が流れる音が聞こえると、町の人が財布を持って集まってくる。音の正体はお魚を販売する熊野漁協の軽トラック。熊野市遊木町はかつてサンマ漁で栄え、サンマ漁発祥の地とも言われる漁師町。お話を伺った濱田安哉さんは、お魚の町、遊木で生まれ育った生粋の漁師。この道50年、遊木漁港の生き字引だ。「中学校2、3年生の頃にはもう漁師になるもんやと思っとった。勉強はろくにしてないやね」。

濱田さんが勤める遊木大敷では定置網漁を行う。鰯やアジ、ヨコワ、伊勢エビなどバラエティ豊かな海の幸が毎日水揚げされている。今回取材したアカイカは遊木町で昔から親しまれてきた地域のお魚のひとつ。一年を通して、煮物や天ぷら、茹でて生姜醤油など、食卓でも重宝されてきた。「でも刺身が一番うまいやね。噛みよったら甘いでね」と濱田さん。

数年前に体を壊してからは船に乗ることは減っているというが、研修生の教育や、定置網漁の要ともいえる網の修繕など、濱田さんの長年の知識と経験は今も現場を支えている。この日も夜明けとともに出勤し、「まだまだ頑張らんとね」と絶えない意欲を見せてくれた。

獲れたて!
温暖な気候と黒潮に恵まれた熊野灘では良質な魚が水揚げされる。遊木漁港も毎日様々な魚で大賑わい。ブリやワラサ、マグロなどの大型回遊魚も多く市場に並ぶ。仲買人たちのセリが終わると、管内放送で今日のお魚を知らせる放送が流れ、一般の客も直接購入することができる。遊木町を訪れて耳を澄ませるとおいしいお魚が食べられるかも?
▼ここで買えます
ほほえみかん
熊野市有馬町1368
☎0597-85-2169
営/9:00~18:00
※内容は2025年4月10日時点の情報です。
悠木漁港の水揚げ風景





















