管理する柿の木は3000本。里山の風景を守る柿園3代目/陽だまりの里 足立柿園

しず畑
浜松市浜名区・足立章さん

 次郎柿の名産地、浜松市浜名区大平(おいだいら)。11月になると里山が柿色に染まる。そんな昔ながらの風景を守るのが、足立柿園3代目の足立章さんだ。足立さんは、高齢化で担い手を失った地域の柿畑を借り受け、約3000本の柿の木を管理している。

見晴らしのよい山の斜面にある柿畑。足立さんは急坂もなんのその!

 足立柿園は70年以上の歴史を持つ。かつて桑畑だった土地に森町発祥の次郎柿を植えたのは祖父の代。種が少なく歯応えのある甘さを持つ次郎柿は、日照時間の長い土地と相性が良く、やがて地域の名産品となった。

 園内には、どっしりと構えた樹齢100年の木がある。大きく横に広がる枝には今も多くの柿が実る。ほかにも80年、70年とこの里山を見守ってきた木々が並び、丁寧な管理によって、いまも現役として実をつけている。

 小学生の頃から両親のもとで柿仕事を手伝ってきた足立さん。3年間の会社員生活を経て、農家の道へ。猛暑やカメムシ、鹿やイノシシなど、自然環境は厳しさを増しており、里山を守るのは容易ではない時代になっている。それでも「次郎柿ブランドと里山を守っていきたいですね」と朗らかに笑う。

 今年も大平で見られる「昔と変わらない秋の風景」。その陰には、足立さんら地元の農家さんたちの支えがあることを忘れてはならない。

秋が深まると足立柿園は最盛期を迎え、30人ほどで色づいた実を手際よく収穫する。だが、忙しさは秋だけにとどまらない。冬は剪定。上に伸びようとする枝を切り落とし、収穫しやすい高さに整える。春は摘蕾(てきらい)。4月から5月にかけて蕾を3分の1に間引く。夏は摘果。6月から8月の暑い時期には、実を3分の1まで減らす。こうして丁寧に数を絞ることで、一つひとつが甘く大きく育つ。柿園の一年は、季節ごとの作業が途切れることなく続いているのだ。

▼ここで買えます

足立柿園直売所(10月リニューアルopen) 
静岡県浜松市浜名区大平938 ☎053-589-8984 

オンラインショップもあり https://adachi-kakien.com

※内容は2025年10月10日時点の情報です。

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