父の背中で覚えた一本釣り。カツオを追って海原を進む/浜口展久さん

しずおか四季の魚
静岡県御前崎港←→三重県浜島・漁新丸船長

 春になると、港は早朝から活気付く。船からベルトコンベヤーに乗って続々と揚がって来るのは、近海で獲れたピチピチのカツオ。漁を終えたばかりの一本釣り漁船「漁新丸」の船長、浜口展久さんに話を聞いた。

 漁新丸は、三重県・伊勢志摩の浜島からやって来た。2日前に出港し、カツオのいる魚群を追いかけながら御前崎へ。ここでひとまず水揚げし、再び次の漁場に出る。次にどこへ行くかはカツオの動き次第。これを繰り返すため、1~2カ月間は家に戻れない。

御前崎港での水揚げ風景。カツオは船から港へ。目印はしま模様。

 浜口さんはプロボクサーとして活躍していたが、22歳の時に地元へ戻り、父の船に乗った。幼い頃は漁を終えて帰ってくる汗臭い父に「憧れはなかった」というが、船の上では違っていた。一本釣りをする寡黙な父の背中は、とてつもなく大きかった。一本釣りは個人の技と力が求められる。「目で見て体で覚えました」と振り返る。

 浜口さんは、小学生2人の父でもある。春から秋は漁に出ているため、入学式や運動会には出られない。「ほとんど嫁さんに任せきりです。不満も言わずよくやってくれています」と家族への感謝を忘れない。カツオを乗せた漁新丸には、家族のドラマも乗っている。

 カツオといえばタタキが有名だが、浜口さんのとっておきメニューは、釣ってすぐ船の上でさばき、塩でもんだ「カツオの沖なます」。「陸で同じものを作っても、同じ味は出ないんですよぉ」と浜口さん。う~ん、なんともうらやましい漁師さんの特権!

 沿岸や近海で獲れた春のカツオを「初鰹」、秋を「戻り鰹」と呼ぶ。春は身が締まってさっぱり風味。秋は脂が乗ってもっちり食感。どちらがお好み?

※内容は2019年4月10日時点の情報です。

御前崎漁港の水揚げ風景

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