農業で吉田町を元気に。真心込め耕す故郷の土/ご馳走畑

しず畑
榛原郡吉田町・岩堀文人さん、祐里さん

 「面白そうだな」。たまたま目にした農家を取り上げたテレビ番組に心を奪われたのがきっかけだった。岩堀さんは30歳で会社員を辞め、農家へと転身した。今年で就農5年目になる。

収穫を終えた稲は、はざ掛けにして干す。「こうして干すと甘みや旨みが増します」と岩堀さん。

 それまで自動車業界で働いていた。祖父母は農家だったが、農業の知識はゼロ。未知の世界への挑戦を後押ししたのは妻の祐里さんだ。「やってみれば」と快く背中を押してくれたことが、大きな決断につながった。「会社員の頃は毎日が追われるようでしたが、農家になってから暮らしが楽しくなりました。時間が濃く、あっという間に過ぎていきます」と岩堀さんは振り返る。技術は先輩農家やYouTubeから学び、少しずつ身につけてきた。いまは夫婦で力を合わせ、米や大豆、レタス、そして大好物のレンコンを育てている。畑に並んで立つ時間が、夫婦にとって新しい日常になった。

 田畑は生まれ育った吉田町にある。9月、町を国内最大級の竜巻が襲った。地域の複数の農家がハウス全壊などの大きな被害を受けた。岩堀さんは「僕らに何ができるかと考えた時、地道に農業を続けるしかないと思いました。農業を通して吉田町を活気づけたい」と決意を新たにする。故郷への思いが原動力になっている。

気温が下がる11月ごろになると、レンコンの収穫が始まる。地域に師匠はおらず、全国有数の産地・愛知県愛西市に学びに通った。水圧で泥を飛ばす収穫方法もあるが、愛西流の鍬(くわ)掘りを採用。田の水を抜き、1本ずつ丁寧に鍬で掘る。手間はかかるが折れにくい。砂地の畑で育つレンコンは身が締まり、食感はシャキシャキ。農薬を使わない自然栽培にもこだわる。「甘みがあって味が濃い」とお客さんからは喜ばれているそうだ。収穫期が待ち遠しい!

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ご馳走畑
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※内容は2025年10月10日時点の情報です。

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