沼津市
イカの王様アオリイカ。波が穏やかな内浦湾(沼津市)は、県内でも数少ない漁場の一つだ。ところが今年は異変が起きている。「こんなにとれないのは初めてだよ。海がどんな状態になってるか見てって」と漁師の大沼健一さんが、船で案内してくれた。

向かったのはイカの産卵場所。岸壁からほど近い海中に、ヤマモモの木が1本まるごと沈められていた。ここに卵を産ませ、近づいてきたアオリイカを網で捕らえる。これを「しばづけ漁」という。海中の木にはイカの真っ白い卵がいくつか産み付けられていた。

期待を胸に仕掛けた網を巻き上げると、立派なアオリイカが1匹かかっていた。ぎょろりとした大きな目に太い足。軽く1キロは超えていそうな堂々たる体つき。体全体が透き通っていた。「多い時は1回の漁で120匹とれたこともあるけど…今日は1匹だけだね」と大沼さんは苦笑い。


内浦で生まれ育ち、変わりゆく海と向き合ってきた。かつてこの辺りの海は金庫と呼ばれたほどで、四季折々の魚が朝夕どっさりとれたという。「あの頃、暇はにゃあだが漁師としては最高の喜びだった」と振り返る。
いま、大沼さんの願いはただ一つ。「昔の海に戻ってもらいてぇな」


海藻のせい?
今シーズンの不漁の原因ではないかと大沼さんが疑うのは海藻の大量発生だ。現場に船で案内してもらうと、海岸線をびっしり茶色い海藻が埋め尽くしていた。

海藻の名前はホンダワラ。食にも向かないやっかい者だそう。大沼さんはここにアオリイカが集まって卵を産みにきているのではないかと予想する。海藻は海底から根を張っていて網も下ろせない。台風が来れば流れてくれるそうだ。早くアオリイカが戻ってきますように。

※内容は2025年7月10日時点の情報です。



