田方郡函南町・動物科学科 生産動物コース2年、3年生のみなさん
全国の酪農家は年々減少し、2024年には初めて1万戸を下回った(中央酪農会議調べ)。国産牛乳の存続が危惧される中、乳牛の世話に毎日勤しむ高校生たちがいる。

静岡県立田方農業高校は、県内で唯一酪農を学べる高校。乳牛について学びたい生徒は、2年次に動物科学科の生産動物コースへ進む。2、3年生合わせて約40人が在籍し、飼育する牛は全部で20頭。朝夕の1日2回、6人ずつ当番制で世話をする。


午前6時、まだ暗い牛舎に当番が集まる。遠方の生徒は始発電車より早く家を出発するため、保護者の送迎も欠かせない。集まった生徒たちは牛のしっぽをていねいに洗い、搾乳し、乳房を消毒する。清潔な牛舎を保つための掃除や給餌も欠かさない。牛がリラックスできるよう、ムダなおしゃべりはしない。放課後にも同じ仕事が待っている。


出産にも立ち会うことがある。「生まれたての仔牛を藁でこすってあげるんです。出産は感動しかありません。やりがいを一番感じますし、仔牛に愛着が湧きます」と目を輝かせて話すのは同コース3年生の熊倉花さん。熊倉さんはじめ、酪農が学べる大学に進学する生徒もいる。頼もしい高校生たちに日本の酪農の未来が託されている。
田農牛乳
同校の牛乳は「田農(でんのう)牛乳」として販売されている。牛乳本来の風味を引き出す高温長時間殺菌製法(85度20分間)を採用。濃厚でコクがありファンも多い。生徒たちの実習は牛の餌となる草の種まきから始まり、飼育、搾乳、製品化、販売までさまざまな角度から酪農を学ぶ。


3年生の熊倉花さんはJRAの支援事業で畜産アンバサダーに選ばれ、オーストラリアでファームステイも経験。現地のアニマルウェルフェアの広がりに感銘を受けた。将来の夢は観光農場で酪農の魅力を伝えること。「酪農を通して命の大切さ、食や環境の大切さを広めたいです」

▼ここで買えます
田農マーケット
第1木曜15時45分~16時15分に開催(8、11、3月は除く)
次回は1月16日を予定
※内容は2025年1月10日時点の情報です。