西三河漁業協同組合・吉良支所地区担当理事
三河湾に面した西三河漁協は、旧6漁協が合併して誕生した広域漁協。そのうちの吉良支所で、小型底びき網漁を営むのが「末幸丸」の杉岡繁樹さんだ。


杉岡さんはこの道35年のベテラン漁師。漁は深夜に出航し、戻るのは翌日の深夜になる。そんな漁師人生の大半を共にするのが、相棒の「末幸丸」だ。頑丈な軽合金製で、何度もメンテナンスしながら大切に乗ってきた。

底びき網は、その名の通り海底を網でひく漁法のこと。海中に網をおろして広げ、船を走らせると、その中に魚が入りこむ仕組みだ。網をひきあげると、タイ、アナゴ、アジ、ヒラメ、イカ、エビ…。船の上はまるで魚の博覧会のよう! 中でも、銀色の平らな体に、ひときわ目がクリッとしてかわいらしい顔つきが「イボダイ」だ。ウロコがほとんどなく傷つきやすいため、選別の際は特に気を遣うという。「例年11月頃からよくとれて、煮ても、焼いてもうまい。この辺りは海温も適度に低く、秋になると脂も乗ってくる。ぬくぬくした環境よりも、荒波に揉まれたほうがたくましく育つからね」。西三河の魚を知り尽くす杉岡さんからも、おいしさはお墨付きだ。


煮ても焼いても
新鮮なイボダイが手に入ったら、杉岡さんおすすめの食べ方が塩焼きと煮つけ。下処理は、腹に包丁を入れ、内臓を取り除けばOK。塩焼きにすると身がふんわりやわらかく、十字に切り目を入れて煮つけにすれば、淡白な白身に味がじんわり染み込む。ごはんが進むおいしさだ。クセがなく、骨も取りやすいため、子どもが食べやすいのもうれしいポイント。





※内容は2024年10月10日時点の情報です。